『眠る虫』本日公開!
2012年、高校生のとき、ポレポレ東中野に「処女の革命3本立て!山戸結希との間違ってるかもしんない正しい出会い方」を観に行った。観客は呆気にとられていたが、私には全てがかっこよく映った。
「世界中を敵にしてでも映画を作ろう 矢崎仁司」
その言葉に出会ったのは大学入学後だけど。
劇場を出たら山戸さんがいらして階段の下で握手してもらった。
そのポレポレ東中野で監督作『眠る虫』が今日公開される。生きることをしていると世界は前触れでいっぱいだったって後で気づく!めっちゃ嬉しい。だからポレポレ東中野に『眠る虫』を観にくることが、誰かのあなたの前触れでしかないんだと思う。ふんわりとでかいことを言ってるけど、本当にそうだと思う。少しでも気になるようでしたら、ぜひ観に来てほしいです。この状況下なので、今じゃないと思う方もたくさんいらっしゃると思います。気になる!という方はぜひ変わらず気にしてくださると嬉しいです。いつかあなたにもお届けできるようこれからも頑張ります。
『眠る虫』はなるべく自分の手で皆さまに届けたく、自主配給を選んだ。手探りの自主配給。いろいろ大変で、自分に至らぬところがありすぎて、いろんな人に助けられながらバタバタで今日を迎えた。複製技術が発達する前、映画はたったひとつで街から街へ運ばれていた。車に乗せられ運ばれていく映画を追いかける子供たち。今じゃ映画を走って追いかけることはない。(TSUTAYAに12時返却の映画を持って走っている誰かを追いかけるようなことがない限り)「世界同時配信」なんて、混乱する言葉だな。でも、映画館にかかる映画の届け方は昔とあまり変わっていない、人の手によって運ばれているんだなって自主配給をして思った。作られたものが、運ばれる。映画館に届けられる。手作りのやりとり。いろんな人に力添えをしてもらって、『眠る虫』って映画を「ポレポレ東中野」っていう世界にたったひとつの映画館に届けられたことを、まずは幸せに思う。
そういうふうに映画館に届けた『眠る虫』をぜひ、映画館に観にきてほしい。スクリーンに流れる映画はそれ自体「過去」のものであるけど、その「過去」が流れている時制は「現在」だし、いやすごい変!なんか時間がごちゃごちゃしている。映画館で『A GHOST STORY』を観た時、際限のない「今」を感覚してボロボロないた。映画館って本当にすごい。1000年後も映画館はあると思う。
『眠る虫』とは、映画館で出会ってほしい。強くそう思う。映画館で見ないと面白さが半減する映画だというある意味の自負がある。この映画を体感してほしい。
一度見てくださった方も、もし気に入ってくださればもう一度!ポレポレ東中野だとまた全然違った映画体験になると思う。
ポレポレ東中野は、1994年にBOX東中野という映画館から始まったらしい。私が生まれる前からこの場所はあったんだな。いろんな映画が届けられ、いろんな人が映画を観にきて、例えばその中に高校生の私もいて、そうして2020年9月5日『眠る虫』が公開される。たくさんの人が感情を漏らしたその席に座って、誰かの前触れになるようなそんな体験を願っている。
金子由里奈
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